

2023/9/14
去る2023年7月30日(日)、虎ノ門ヒルズ(東京都港区)にて、株式会社バリアフリーカンパニーの設立20周年を記念し、「SDGs時代のユニバーサルデザイン~より良い日本をつくるために、バリアフリーカンパニーができること」と題したシンポジウムを開催しました。
当日は登壇者10名に加え、総数60名を超えるお客さまがご来場。約4時間にわたって「SDGs時代のユニバーサルデザイン」に関するトークセッションが繰り広げられました。

《各プログラム ダイジェスト》

トーク1:「東大✕BFC STEM・理系人材の採用・活躍推進プロジェクト」
登壇者:熊谷晋一郎准教授(東京大学先端科学技術研究センター)、並木重宏准教授(同)森淳一、中澤信
東京大学先端科学技術研究センターの「インクルーシブ・アカデミア・プロジェクト」(https://idl.tk.rcast.u-tokyo.ac.jp/)とは、障害を持つ研究者が研究施設などで不自由なく活躍し、研究者としてのキャリアを継続できる仕組みを実現することを目的とするプロジェクト。バリアフリーカンパニーは、現在は大学の枠内で行われている本プロジェクトを、中学・高校や一般企業などにも展開できるよう、以前よりサポートを行っています。
今回のトークセッションでは、本プロジェクトのリーダーである熊谷准教授、並木准教授によって、プロジェクトの進捗やこれまでの成果が紹介されました。
熊谷准教授と中澤の対談のなかでは、文化面、とくに障害者をサポートする支援者の方々の課題が浮き彫りになりました。当事者が参加しなかったことで的を射ない支援になっていること、特別支援、特例子会社など当事者を囲い込む枠組みがじつは大きな足かせになっていること、学校教育をはじめ社会のなかで当事者が共にあるという状況をまずしっかり伝えて理解してもらうことが必要不可欠、という指摘がありました。
インクルーシブ・アカデミア・プロジェクトについては、こちらの記事もご覧ください。
東京大学×バリアフリーカンパニー、STEM・理系人材の採用・活躍推進プロジェクト
https://barrier-free-jp.com/posts/-GpqDTWx

トーク2:「障害者差別解消法を考える」
登壇者:黒嵜隆(東京弁護士会副会長)、関哉直人(弁護士)、中澤信
改正障害者差別解消法にて事業者の対応が義務化される「合理的配慮」を中心に、改めて本法の成り立ちや社会モデルなどの思想、概要を、アメリカの実情などとともにご紹介いただきました。
また、差別的取り扱いや合理的配慮について、特徴的で理解の進みやすい最新の係争事例をご紹介いただきました。ただでさえ難解な「合理的配慮」の考え方や事例解説は、大変参考になったと来場者に好評でした。
(現在字幕作成中です)

トーク3:「ユニバーサルデザインレビュー ~和歌山県田辺市新市庁舎~」
登壇者:間瀬樹省(ケアスタディ株式会社代表、デザイナー)、似内志朗(建築・FM)、中澤信
公共建築に限らず、さまざまな建築において、コストを最小限に抑えたいという考え方から、バリアフリーの対応もおろそかになりがちです。しかし、実際は竣工後になって利用者から対応を迫られ、結果的にライフサイクルコストが当初の想定を上回ってしまうというケースも多発しています。
バリアフリーカンパニーが昨年より関わっている、和歌山県田辺市の新市庁舎は、中澤に加え、日本ファシリティマネジメント協会でUD部会を率いていた似内志朗氏、介護施設の建築設計を中心に活躍されている間瀬樹省氏がタッグを組み、さまざまな障害の観点からコンサルタントを実施。新市庁舎には、建物内部の空間設計や導線・誘導、周辺道路など外部からのアクセスに関してまで、公共施設に必要なユニバーサルデザインが盛り込まれています。今回は、ユニバーサルデザインの具体例や設計秘話など、たいへん興味深いエピソードも紹介されました。
田辺市新市庁舎の監修については、こちらの記事もご覧ください。
和歌山県田辺市の新市庁舎建設にあたり、ユニバーサルデザインの監修をいたしました
https://barrier-free-jp.com/posts/GbL_-IoE
(現在字幕作成中です)

当事者トークセッション:「当事者の言葉からユニバーサルデザインを考える」
松森果林(聴覚障害)、武者圭(視覚障害)、中澤信、小林博之(ファシリテーター)
視覚障害などを持つ武者圭氏、聴覚障害を持つ松森果林氏から、日本におけるバリアフリー対策、ユニバーサルデザインの現状と改善案をお話しいただきました。
ハード面の整備は広がっている、ITも助けになってきていると口を揃えるお二方ですが、「人々の意識はあまり変わっていない、対応が遅れている日本は国際社会から批判されている」(武者氏)、「ハード面の整備が進んでいるにもかかわらず、手話やリアルタイム情報の共有に目が向けられないことで、コミュニケーションが難しい」(松森氏)といった課題も挙げられました。
過去にアメリカで過ごした体験がある中澤は、「障害者からも発信や行動を起こすことが必要」としつつ、特殊学校、特例子会社という枠にはめ込むのではなく、障害者と健常者が同じ空間で生活しながら互いを認め合い、そのうえで何が必要かを見つけていくことが重要と提起しました。
(現在字幕作成中です)

ミライトーク:「若い世代との対話」
杉山文野(NPO法人東京レインボープライド共同代表理事、JOC理事)、大塚訓平(NPO法人アクセシブル・ラボ 代表理事)、中澤信
NPO法人東京レインボープライド共同代表理事を務める杉山文野氏(ビデオ参加)と、NPO法人アクセシブル・ラボ代表理事の大塚訓平氏が、現在を生きる“若い当事者”として、インクルージョンのあるべき姿について提言しました。
社会の高齢化に加え、予期せぬ事故で障害を負ってしまう可能性なども含め、誰もが障害の当事者になりえる未来。そうした未来で誰もが安心して暮らせるようになるには、当事者への理解を進めること、そのために当事者側からも積極的にコミュニケーションをはかることが重要と、大塚氏の力強い言葉に来場者の皆さんも大きくうなずいていました。
(現在字幕作成中です)

シンポジウムの最後は、登壇者、来場者の皆さまを交えた懇親会を開催。
懇親会冒頭では、作家の乙武洋匡氏にご挨拶をいただきました。
バリアフリーカンパニーの草創期から中澤と親交がある乙武氏からは、ユーモアあふれるバリアフリーカンパニー20周年への祝辞とともに、現在の日本におけるさまざまな課題、そして、より良い日本にしていくための改善案もお話しいただきました。トークの詳細は、ぜひYoutubeでご覧ください。
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トークセッション、懇親会合わせて約6時間にわたる長丁場だったにも関わらず、最後まで多数の皆さまがご参加くださり、おかげさまで大変有意義で濃密な時間を送ることができました。誠にありがとうございました。
当事者を交えたシンポジウムは今後も随時開催していく予定です。
ぜひこれからもバリアフリーカンパニーをご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
当日のシンポジウムのトークセッションの模様は、弊社Youtubeチャンネル「車いす社長のYoutube」にて配信しています。ぜひご覧ください!
《シンポジウム開催概要》
SDGs時代のユニバーサルデザイン
~より良い日本をつくるために、バリアフリーカンパニーができること
開催日時:2023年7月30日(日)13:00-19:30
会場:虎ノ門ヒルズフォーラム4階ホールB-1+2
登壇者、プログラム等概要は下記をご覧ください。
https://preview.studio.site/live/xPORM1z0Wr/posts/y68s6Ck9