【レポート】コロナ下における障害者のエンターテインメントへの接し方

2020年、新型コロナウイルスの流行によって、わたしたちのライフスタイルは変更を余儀なくされました。移動を少なくし、三密を回避するため、さまざまなオンライン化が進み、自宅で過ごすことが増えています。

エンターテインメントの世界も、大きく様変わりしつつあります。ライブや映画など、劇場などで鑑賞する場合は三密を避ける工夫が施され、またオンラインで提供されるケースが増えてきました。

そうした変化の影響は、障害者のみなさんにも及んでいるようです。健常者の不便と同じこともあれば、健常者とは異なる不便も生じそうですが、実際にはどのように影響しているでしょうか?

そこで、バリアフリーカンパニーではさまざまな障害者のみなさんに緊急アンケートを行い、エンターテインメントとの付き合い方、楽しみ方に変化があったのか、提供方法の変更がどのように影響を及ぼしているのかを、多様な障害の方、およびその介助者の方に調査しました。

調査結果

概略

調査期間2020年9月10日~10月15日
対象障害者の方:31人、介助者・ご家族・友人の方:10人  計41人
(車いすユーザー11人、視覚障害者7人、聴覚障害者8人、その他精神・知的・肢体不自由の方)

年齢 20代~70代以上
方法インターネット上でのアンケート

生活全般の変化

・自宅から出ることが少なくなり、リモートワークとオンラインミーティングが増えており、「移動を気にしなくてよい」などメリットを感じている。聴覚障害者には、オンラインミーティングに字幕が出ることや、みながマイクを使うので聞き取りやすくなったのは、オンライン化によるメリットが生まれているようです。

・視覚障害者には、接触をしないため、家族以外の方にサポートをお願いすることがしづらくなったというコメントが多数あります。また、マスクをすると感覚が鈍くなりものにぶつかるというコメントもあります。公共機関のポールに触ることを躊躇するなどで状況が確認しにくくなっているほか、通行制限や飛散防止のための透明なバリアに気づかないといった、新しい障壁もあるようです。

エンターテインメントの接し方・要望など

・全体の80%が、2019年初から2020年2月までの間に、エンターテインメントの施設での開催に出かけています。(映画、舞台、演劇、お芝居、サーカス、ライブ、お笑い、手品、音楽、ダンス、スポーツ、などの鑑賞・参加など) 2020年2月以降は、全体の72%の方が、お出かけが「減った」と回答していますが、現在なお80%の方が、今後エンターテインメントに触れる機会を増やしたいと考えています。

・オンラインでのエンターテインメントを活用される方が増えています。「長時間密室の空気感染が怖い」など感染を避けたいコメントが多く、「ライブ、映画館へ行かれなくなった」と会場へ行く機会が減った分、オンラインへのシフトが進んでいます。オンラインについては「移動することを気にしなくてもイベントに参加できるようになった」「遠方の講演やライブを体験する機会が増えた」と、リスク減や機会の拡大を評価する声が多くあります。

・会場に行く場合の関心事は、移動のスムーズさ、サポートの確かさが多い声です。「スムーズに誘導できるようサポートいただいた」「盲導犬が楽に待機できる座席を用意いただいた」など、不安要因をなくしたい意向は強く、「物理的バリアがあっても接遇が良ければリピートしたい」というコメントにつながっています。

・視覚障害の方からは、「展示やテキストで舞台装置の説明を知ることができた」「会場の様子を教えていただいた」「音声ガイドで楽しんでいる」、聴覚障害の方からは「リアルタイムで日本語字幕が出る」「筆談で会話してくれる」など、会場の状況やコンテンツの進行をいろいろな手段で伝えてもらっていることが、うれしいポイントと評価されています。

・アプリによって配信するなどのデジタル化について、「見えなくても参加できるようにしてほしい」という要望があります。

・会場での距離感やオンラインについては、「感想を共有できないのがさびしい」など、共有にむけての要望があります。


コロナが終わっても、私たちのライフスタイルは元に戻るわけではなく、ニューノーマルとして、いくつかの変更のよかったものを取り入れて、これまでと変わったものになるようです。バリアフリーカンパニーは、ニューノーマルに向けた変化が、健常者のみならず、多様な生き方の人たちにとって住みよいものにならなければならないと考えています。

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